石灰やセメントなどで改良されたアルカリ土壌で造成された道路法面や河川堤防を緑化するための液状中和剤です。
法面のほかに既存緑地の表層に散布することで樹勢回復にも効果があります
- ・中和反応で生成される塩類を難溶化し、電気伝導度の上昇を抑制します。
- ・希釈して散布するだけで地被類による緑化が可能になります。
- ・アルカリで生育が思わしくない既存緑地への散布もとても効果的です。
荷姿 | 20Lキュービテナー入り 約30kg |
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pH | pH1.0程度 |
成分 | 有機酸、ポリ鉄などの弱酸成分で構成され、毒劇物を含まない安全な製品です。 |

使い方
希釈して散布するだけで、翌日には緑化が可能になります。
中和試験を実施し希釈倍率を決める(無料)
- ・1検体500g~1kg程度を送付してください。
- ・中和試験を実施し、中和曲線を作成します。
- ・作成した中和曲線から、必要な希釈倍率を求めます。
- ・試験には10~14日程度要します。
- ・公共工事において、希釈倍率の根拠資料となります。
中和試験を実施しない場合は下表から求めます。
砂質土壌は薄め、粘性土や有機物を含む土壌は濃いめとします。
※pHや土質により希釈倍率は大幅に変動する場合がありますのでご注意ください。
現場土壌pH | 8.5~ | 8.5~9.0 | 9.0~9.5 | 9.5~10.0 | 10.0~10.5 | 10.5~11.0 | 11.0~11.5 | 11.5~12.0 | 12以上 |
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希釈倍率 | 15~20倍 | 7~15倍 | 5~12倍 | 3~7倍 | 3~5倍 | ||||
散布回数 | 1回 | 1~2回 | 2~3回 |
希釈液の散布量について
1リットル/㎡の散布で約1cm浸透します。
- ①法面の場合:標準散布量は2リットル/㎡とします。浸透性の良い砂質土やズリの場合は、液だれしない範囲で4~6リットルを目安にしてください。
- ②既存緑地の場合:浸透量に応じ3~5リットル/㎡とします。
散布機材
- ・広い面積の場合、種子散布車を用いることが一般的です。
- ・大型車が進入できない場所や狭面積の場合は、樹脂製タンクと動噴などで散布する場合もあります。
養生
新設アスファルトやコンクリート二次製品に付着すると白濁したシミや変色することがあります。
以下の場所は養生を行い、付着した場合は真水で直ちに洗浄してください。
- ①新設アスファルト面
- ②コンクリート二次製品
- ③車両など
- ④植物葉面(既存緑地)
施工事例
施工場所 | 関東地区の河川堤防 |
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散布前pH | pH9.5~9.8の石灰処理土 |
中和目標 | pH8.0以下 |
中和剤希釈倍率 | 5倍希釈 |
散布量 | 2L/㎡散布 |
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中和剤の散布
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散布翌日に張芝開始
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3ヶ月後の状況
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6ヶ月後の状況
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8年後の状況
既存緑地の中和
植栽基盤がアルカリだとは知らずに植栽してまい生育が思わしくないといった原因は栄養素の難溶化にあります。pH7.5~8.0を超えると必須栄養素が難溶化し植物が利用し難くなるからです。アルカリ土壌環境では施肥をしても利用できない状態が続きますので、植物は徐々に衰退していきます。使用方法は、中和試験を実施し希釈倍率を決めます。栄養根が発達する深さ3~5cmの範囲を中和したいので、平坦な場所では1㎡あたり3~5リットルを標準散布量とします。
実施例
pH7.8~8.2に植栽されたサツキは鉄やマグネシウムの栄養障害を生じています。
ドクターペーハー液剤を散布し、1.5年後には栄養障害は改善されています。
pH8.0~8.5の土壌に植栽されたマテバシイ。植栽後2年経過するも樹勢は回復せず。ドクターペーハー液剤を散布しpH7.5に中和すると数か月後に樹勢が回復し始めています。
散布時の注意
中和剤を直接葉面に散布してしまうと写真のように赤く変色してしまい、枯れてしまう場合がありますのでご注意ください。
- ・なるべく葉面にかからないよう地際に散布してください。
- ・中和剤散布後に軽く真水で洗い流すとよいでしょう。
- ・新芽の時期、高温期の散布は避けてください。
葉面に散布し変色してしまった事例です。このような場合、たっぷりと散水することで回復することもあります。
- ・皮膚荒れなどの原因となりますので、使用時にはゴム手袋などを着用してください。
- ・目に入ると強い刺激性がありますので、必ずゴーグルを着用し作業してください。
- ・万一目に入った場合は多量の水で洗浄してください。違和感がある場合には眼科医の手当てを受けてください。
- ・新設のアスファルト面に付着すると乳化し白濁することがあります。作業に当たっては養生を行い、付着した場合は速やかに真水で洗い流してください。
- ・強風時や降雨時の作業は中止してください。
- ・周囲の自動車など、散布液が付着することが懸念される場所は、養生を行って散布してください。
- ・保管する場合、一般の人が触れない様にシートを掛け固縛してください。