東北地方の河川堤防:ドクターペーハー液剤散布 その後
東北地方で河川堤防に野芝を張るためにドクターペーハー液剤を散布していただきました。
築堤にあたって土質を改良するためにセメントや石灰系の固化材が用いられることで、pH9.5~10.5程度を呈していました。当社では中和試験を通じ、標準的に10倍~15倍希釈液を3リットル/㎡散布(施工場所による)すればpH8.0以下に中和できる旨をお伝えし、この通り施工していただいています。
1.2012年夏に散布、張り芝された場所
4月初旬の東北地方は、まだ新芽がでるまでには至っていませんでした。昨秋には活着を確認していますが、表層土(芝下の地山2~3cm)を20gほど採取し、pHを測定してみました。
この場所は、散布前にpH10前後を示していた場所ですが、今回の測定ではpH7.07でした。
室内試験ではpH8.0以下としていましたが、芝の根が伸長しここ半年でほぼ中性域まで低減したのだと思います。
2012年8月に施工した場所 表層2cmpH7.07
根は十分伸長しています。根は二酸化炭素を含んだ雨水を土中にしみこませる隙間を作ります。
根自体が24時間呼吸し土壌中に二酸化炭素を供給します。二酸化炭素はアルカリの原因物質である水酸化カルシウムを炭酸化しpHを低減させます。
このような作用でこの場所は、pH10⇒中和処理pH8.0以下⇒降雨+植物の自浄作用pH7.07、といった流れで中性化しているものと推察しています。
根張り状況
2.本年度末に散布、張り芝を実施した場所
撮影は施工後1~3か月経った4月初旬です。東北地方ではまだまだ冬枯れの状態です。
しかし南面は暖かく、ちらほらと新芽が出始めていました。
2箇所から表層2~3cmの範囲で20gづつ土壌を採取してみました。測定結果はpH7.86と7.69で改良目標の範囲内でした。
(もともとpH10程度だったところを散布によってpH7.5~8以下に中和する計画)
今後、ここのpH値の経時的な変化を観察していく予定です。
・pH測定状況
・ドクターペーハー液剤の散布作業はまだ継続中です。
早く芝生が活着し、災害に強い堤防になることを願っています。
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