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アルカリ性発生土の調査

2013年7月4日

発生土を土木的に有効利用するために水分調整や強度を得ることを目的として石灰やセメントで土壌を処理することがあります。土壌のアルカリ化の原因の多くは石灰やセメント由来の水酸化カルシウムで、これはpH12.5を示す強アルカリ物質です。

6月のことですが、将来植栽に用いる発生土のpHを調査しました。

この発生土は表層pH8.5、10cm内部がpH9.3程度でした。
深さによるpH分布をみると、おそらく元々pH10~11程度を呈していたものが大気や雨水に含まれる二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応した結果、炭酸カルシウムへと変化しpH値が低減したものだと思われます。表層ほど炭酸化の影響を受けpH値は低減します。

このように石灰やセメント処理されたアルカリ土壌は数年単位で徐々にpH値が低減してきますので、石灰やセメントによる処理後、数年経ていると経済的な中和処理が可能になります。
また、期間を短縮したいのであればバックホウでたまに撹拌するだけで二酸化炭素が供給されますからpH値の低減は促進されます。
pH12の土壌が、撹拌作業(曝気養生)で数カ月程度でpH9.5~10.5になることもあります。

植物への影響ですが、pH8.0を超える土壌の場合、リン酸や鉄などの栄養素が水に溶けにくくなり植物が利用しにくくなります。
写真はマテバの幼木ですが、葉緑素が少なく良い栄養状態にあるとは言えません。弱アルカリ土壌の影響を受けているものと思われます。

持ち帰った土壌試料を用いた中和試験を実施し、どのような方法でpH値を矯正するべきか提案させていただきました。