酸性硫酸塩土壌は緑化が困難
①酸化作用で硫酸が生成され極強酸性になる
②アルミニウムが溶出し根に障害を与える
植生基材による緑化が前提
①劣悪な土壌環境ですから、盛土・切土面を問わず基本的に植生基材による緑化が前提となります。
②植生基材にドクターペーハーCaPを配合することで地山の酸性化の抑制・中和作用の効果により緑化が可能になります。
関連情報
pHの変化~切り出された直後は中性なので注意が必要です~
中性
山中や切土されて間もない状態。この段階では、pHは中性を示すので緑化してしまい、数か月後に枯死してしまうケースが見受けられます。
疑わしい場合はpH(H2O2)試験を実施します。この測定結果が3.5以下の場合、酸性硫酸塩土壌であると判定されます。

酸性
大気に晒されると、空気中の酸素により酸化され生成された硫酸により徐々にpH4.0程度まで低下します。

極強酸性
温暖な環境で水分や栄養が含まれる場合、鉄酸化細菌やイオウ酸化細菌が増殖し、その生物的酸化作用で、さらに急激にpHが低下しpH1~2の極強酸性になることも珍しくありません。pH3.5以下の土壌環境ではほとんどの植物は生育できませんので対策が必要になります。
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pH(H2O2)2.3程度の酸性硫酸塩法面の施工例。
植生基盤材t=5cm、ドクターペーハーCaPを500g/㎡配合。 -
pH(H2O)6.3程度の中性であった盛土を緑化したが、酸性化が進行しpH(H2O)3.1程度になり枯死してしまった例。
特長
- ・中性の材料
中性の材料なので中性個所と酸性個所が混在している法面でも安心して施工することが可能です。入れ過ぎによるアルカリ化も生じません。 - ・強酸性に対応
成分として含まれるカルシウムが微生物により微細に分解され、土壌の間隙を移動しながら深部まで中和します。 - ・微生物の活性化・団粒化促進・酸性化抑制
土壌中の多様な微生物が活性化することで土量の団粒化を促進し硫酸の流亡を促します。また多様な微生物相が構築され、その拮抗作用で酸性化を抑制します。
荷姿
荷姿 |
20kgビニール袋 1000kgフレコン入り |
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成分と効果
- ①100%自然由来の中性の材料で構成されています。(pH6~8)
- ②地場の微生物が増殖し、成分のCaイオンが溶け出し酸性を中和します。同時にリン酸が溶け出し、有害なアルミニウムと結合し無害化します。
- ③多様な土壌微生物が活性化することで、酸性化の原因である鉄酸化細菌や硫黄酸化細菌などと拮抗し酸性化を抑制します。
- ④微生物活動の結果、地山土壌の団粒化が促進され硫酸イオンの溶脱が促進され根の伸張を促します。
使用方法
- ①pH(H2O2)を測定し、下表を目安に配合し吹き付けてください。
- ②酸性硫酸塩法面は「劣悪な土壌への緑化」になりますので基本的には「切土の斜面安定工指針」に準拠し植生基材による緑化としてください。
- ③保護メガネ、防塵マスクを着用し作業を行ってください。
- ④保管は雨水がかからないようシートで覆ってください。
酸性硫酸塩法面緑化対策
pH(H2O2) | pH(H2O2)3.0~4.0 | pH(H2O2)2.5~3.0 | pH(H2O2)2.5~2.0 | pH(H2O2)2.0以下 | |
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Dr.pH CaP配合量 | 200~300g/㎡ | 400~500g/㎡ | 500~700g/㎡ | 500~1000g/㎡ | |
参考:植生基材厚さ | 切土 | 5cm | 5~7cm | 5~7cm | 5~10cm |
盛土 | 3~5cm | 5cm | 5cm以上 | 5cm以上 |
従来工法との経済比較
酸性硫酸塩法面緑化比較表 (pH2.5程度で植生基材を5cmとした場合)
項目 | 遮断工法 | 中和工法 | Dr.pH CaP工法 |
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概要 | 地山からの強酸をモルタル吹付や遮水シートで遮断する工法。地山からの水の供給がないため植生基盤層を厚くする必要がある。 | 消石灰、焼成貝殻、炭酸カルなどをバークや土壌と混合し吹付け中和層とし、その上に植生基盤材を吹き付ける工法。 | 100%自然由来の材料を植生基材に混合し吹付ける工法。現地の微生物活性と分解生成物により地山を中性化する工法。 |
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材・工概算費用 (1㎡あたり) |
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工程 | 3工程 | 3工程 | 2工程 |
備考 | 遮断層と植生基材部分ですべりや崩壊が生じることがある。 | 寒地土木研究所で考案され北海道で普及している工法。 | 工程が2工程で簡素化。中性~酸性が混在している法面でも適用でき安価である。 |
施工事例
施工場所 | 造成地の切土法面 |
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pH調査結果 | pH(H2O2)1.96~6.53が層状に分布(多くは2.0~2.3程度) |
植生基材厚さ | 5cm |
Dr.pH CaP | 500g/㎡ |
施工の追跡調査
①~②「酸性化時期」
好気環境下において鉄酸化細菌が活性化、硫酸が生成され酸性化傾向を示す。(対策を講じなければpH2程度まで低下)
②~⑤ 「Dr.pH CaP分解に伴う効果発現」
さらに気温が上昇することで多様な微生物群が活性化、ドクターペーハーCaPの分解に伴い中性化が進行している。(緑化基準値内)
⑥「植生基材内部」
植生基盤内部はpH7.1~7.4程度の中性を保持しています。
地山表層は団粒化が見られ、ここへの根の伸張が観察されました。